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2. 流出油防除体制
1981年3月に制定された汚染管理法は、原因者負担の原則、通報の義務、緊急対応計画の作成、支援を与える義務、継続的に情報を通報する義務等を規定し、ノルウェーにおける海洋汚染防止に法的な根拠をあたえている。規制のなかで通報義務をとくに重視しており、汚染防止管理法に基づき通知に関する規則を定め、1993年1月から施行している。(参考資料参照)
油汚染の原因となりうるいかなる活動の運用者も油汚染への対応体制を設ける義務を負うことが規定されており、汚染原因者に第一義的な防除義務が課されている。
国と地方白治体は、汚染の原因がわからなかったり、原因者自身によって防除義務がカバーされていないときに緊急活動の義務を負っている。
資料「緊急汚染通報システム」
? 国家汚染管理局(StatensForurensningsTi1syn:SFT)
SFTは、ノルウェーにおける環境施策全般について責任を負っている環境省に情報を提供し助言をおこなう専門的機関で、ノルウェーにおける汚染対策組織の活動と開発に関する調整と調査に対する責任を負っている。
国の汚染への対応については、SFTが現場調整機関の役割を果している。この役割の中で、汚染原因者が防除作業を実施するのを監督し、技術面での手助けを行い、また必要であれば適切な行動を取るよう指示を与える。国が流出油を除去する責任を負っている場合に、防除活動の指揮をとる。SFTの任務には、ノルウェー沿岸の保護も含まれている。このため沿岸15力所に資機材と要員を備えた基地を設けて、地方自治体では対応できない大規模な流出油事故の際、全国の基地にある資機材、船舶及び要員を提供することにより地方自治体の活動を支援している。
? 地方自治体
各地方自治体は、比較的小規模の汚染に対応する。
沿岸地域は、52の対応地区に分けられ、各地区毎に対応グループを設置している。グループの管轄権は4マイルまでであり、それぞれのグループが地域緊急対応計画を持っている。これらのグループは、地方自治体、消防団、警察及び業界等で構成され、消防署長又は港湾管理者が統括する。
グループは、人員・資機材を有し小規模な汚染には対応できるが、大規模な汚染の場合には国の援助を受けることになる。
? 石油業界
ノルウェー大陸棚で操業する石油会社は、掘削現場や石油精製施設からの企業活動によって発生する汚染に対処できるよう緊急対応計画を作成する義務があり、その対策の規模はSFTにより定められ、その条件を満たす資機材を備えることを要求される。そして、事故が発生した際には、発生元の企業は直ちに防除作業にあたる責任を有しており、必要な場合

 

 

 

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